2013/03/13

ハルドワール

3月10日 日曜日 18:00 ハルドワールの宿にて

やっとジョードプルを抜け出し、ハルドワールに着いた。
ここまで、非常に長かった。長いなんてもんじゃなかった。

まず昨日の朝、早く起きるが体の調子があまり良くない。
重いというかダルいというか。風邪が完治していないのかもしれないし
胃腸が悪いような気もする。というのも連日、屋台で安いものばかり食べていたから
何かがちょっと当たったか、辛過ぎるスパイスにやられたか。
それか前の日に屋台で飲んだレモンジュースが、金魚の水槽の味が少ししたので
それかもしれない。なんにせよ心当たりは山ほどある。
なので少し高くつくが、宿のレストランで
朝飯にバナナヨーグルトコーンフレークを食べる。

列車は朝10時45分発なので、9時過ぎに宿を出て駅まで歩く。
近道しようと思ったが、逆に道に迷いギリギリに駅に着く。
さて私はウェイティングリストチケットなので、乗れるのかどうかドキドキしながら
駅の窓口で聞いてみる。するとオヤジは残念な顔をして「not confirm.」
ようするにまだ確定ではないみたいな事を言い
私のチケットに「ウェイティングリスト/39」と書いた。

これはまだ39人の人が待っているという事なのか。
という事は俺やっぱ乗れないの?と聞くと、よくわかんない事をゴチャゴチャ言い
ラチがあかないので、英語が話せる人に助けを求める。
するとホームでウェイティングリストの表を見れと言うので
見てみると自分の名前があり、列車が来たら確認しろと言われ、列車を待つ。

その間、もう今回は乗れないだろうなとあきらめ
これからどうするか考えていると列車が来たので
列車に乗っている家族連れのインド人に確認してみると
とりあえず私達の隣で待てと言われる。

なんか散々たらい回しと言う感じで
ダメならダメで次の方法を探すからそう言ってほしいと思っていると
なんと列車が出発し、席があるのかないのかわからないまま列車に乗ってしまう。
もうどうでもいいやと思い、席に横になり家族連れに全てを託す。

1時間くらい走った所で大きい駅に着き、人がたくさん乗ってきた。
車内は大変混雑してきて、なにやらみんなで席に着いて話し合っており
チラチラと俺の顔を見られ、もしかしたら俺迷惑かけてるのかなと
少し申し訳なくなり肩身が狭くなる。
もしかしたら途中で降りなきゃいけないかもなと一応覚悟し
しかしそれまでは休もうと思い、気にせずゆっくりすることに。

それから2、3時間経ち、また大きい駅に着いたので、ホームに降りてストレッチをし
隣に家族連れのお父さんがいたので、思いきって聞いてみる。
すみません、僕ウェイティングリスと初めてで、よくわかんないんですけど
僕ハリドワールまで行けるんですか?それとも途中で降りなきゃ?
するとオジサンは、何も心配はいらない。君はただリラックスしていればいいんだよと
笑顔で言ってくれたので、やっと胸のつかえが取れる。

はたしてどこの席で寝られるのかわからないが
明日の朝にハリドワールに着くなら、とりあえずなんだっていい。
家族連れはみんな代わりばんこに寝たりしているが
わたしは席をシェアしているので横にもなれず
座禅を組んだりしながら時間を潰し、やっと日が暮れてきた。

俺がそろそろ横になりたいんだと切り出すと
オヤジがわたしに「神の御加護がありますように」と言って
急に周りのみんなで歌いだした。
ヒンドゥー教の歌だと思うのだが、ややこぶしが効いていて
子供も少し口ずさんでいるので、きっと有名な歌なのだろう。
もしかして俺のために歌っているのかも?と思い
一応神妙な面持ちでジッと歌を聞いていたが、この歌が長いのなんの。
15分、20分近く歌っていたんじゃないだろうか。
でも周りのインド人は歌わずジッと見ていたので
この人達の宗派の歌なのかもしれない。

やっと歌が終わって、みんな急に寝床の用意をし始めた。
そしてついにわたしにも、廊下沿いの1段目の席が与えられた。
わたしは上の段のチケットを買ったので、上がよかったがそんな事は言っていられない。

席は全体的に汚れて土がついてるので、シートをひいて横になった。
本当はちゃんとした晩飯が食べたかったが、誰かが晩飯を売りにくるのかも
全然わからないので、停車した駅でただ甘いだけの菓子パンを買って
さっさと食べて歯を磨き、これ以上は何も口にしないと決めた。

時間は8時を過ぎ、さてやっと寝られるかなと思ったら
列車の中でもんんのすごく怪しい若者達が
キョロキョロしてジロジロなにかを見ながらウロチョロしている。
かれらの席はないと思うのだが、携帯で話しながら車内をジロジロを見ながら
同じところを行ったり来たりしている。
彼らがなにものだろうと興味は全くないのだが
わたしは一段目で荷物も非常に盗られやすいので、気が気ではなく
靴も全部鞄にしまい、鍵をかけてチェーンもつけた。
しかしそれでも怪しい奴が半径2m以内でウロウロしてると、寝るに寝られない。
おまけに人の横に来て大声で立ち話なんてするので、苛立ちも頂点に達し
一人ずつ隙を見て電車から突き落としたらバレるかななどと、変な妄想が始まった。

しかし、これはまだほんの序章にすぎなかった。
9時をまわり、どこかの大きな駅に着いたらしく、外がガヤガヤしだしたかと思ったら
突然大勢のインド人が乗り込んできた。
さっきも思ったが、ここは寝台車両であって、言い方は悪いが
チケットを持ってない貧困層などは乗れないはずなのに
いったいぜんたいどうなってるのだとパニックになってきた。
いきなり乗車率200%を超え、廊下はぎゅうぎゅうで
怒鳴り声などがあちこちから聞こえてくる。

みんな私の方をジロジロ見て来るので睨み返すが、まったくどうしていいかわからず
こんな状態で寝られるはずもない。
30分ほどその状態が続き、もうしょうがないと思い
窓側に寄って足元付近にスペースを作り、2人に腰掛けさせてあげた。
やや窮屈になったが、気持ちは幾分か楽になった。

少し安心して30分ほど寝てしまったらしく、起きるともう一人汚い兄ちゃんが
腰のあたりに座っていたので、思い切り睨んでみたが、これもしょうがないかと思い
さらに窮屈な姿勢で寝る事になった。
もちろん彼らも窮屈であり、ときどきケツをずらして詰めてくるのだが
そうすると背中を思い切り叩いて、アゴで戻れと合図する。
こんな事を延々と繰り返すのだが、ここで一つ思った。
日本だとこんな態度だとお互い喧嘩にもなりそうだが
インドにはまだカースト制が根付いており
外国人はおそらく上位カーストに位置すると思われるので、年上のオジサンだろうが
わたしの言う事はちゃんとおとなしくきいてくれるし
こちらはチケットを持って寝ているという事もわかっているだろう。

しかしこの状態ではトイレになどは絶対行けないので、水はあまり飲まないようにした。
それにしても寝てる人がたくさんいるし、もう夜も遅いというのに
まったく気にせずみんな大声で話したり、隣の車両からは歌声まで聞こえてくる。
この状態で寝たり寝なかったり、後悔したり前向きに考えたりで
気がつくと朝日が少しずつ昇ってきていた。

朝7時頃、大きな駅に着いたとき、人が大勢降りて行き
やっと戦いは終わったかと思い、安息のチャイを一杯飲んでいたら
今度はさっきの倍近い人がまた乗ってきたので
チャイを一気に飲み干し、また戦闘態勢についた。

せめて何時に着くのかがわかっていれば、それを目処に
もしかしたら老人に席を譲ったのかもしれないが
全くなんの情報も得ることができないので、死んだ目をした太々しい外国人に徹して
乗車率300%にも達しそうな車両の中で、苦しそうな顔をしたババアや
車両にも入れず完全に列車の外にはみ出しながら
振り落とされないよう必死につかまっているジジイを傍観した。

体も伸ばせず、着替えもできず、窓の外から照りつける日光を避けることもできず
頭の上には、裸足で歩くオヤジの汚い足の裏が、2段目の席からぶら下がっている。
あまり色々な事を考えると、気が狂いそうになるので
だまって目を閉じて瞑想し続けた。
JOJOの奇妙な冒険で、カーズが宇宙空間に放り出され
考えるのを止めた気持ちが少しわかった。

そして9時40分、列車はなんと定刻にハルドワールに到着した。
昨日の晩からずっと足下に座っていた
どでかいターバンを被ったシーク教徒のジイさんの肩を
よく頑張ったなと叩いてやったが無視された。
そんなわけで、さっそくインドの洗礼を受け
早く帰りたいと一言つぶやくのであった。

そしてハルドワールだが、今日は日曜日で、なにやらヒンドゥー教の祭があるらしく
町はもんのすごい人の数で、ガンジス河では大勢の人が沐浴していた。
きっとあの列車の混雑はこのためだったのかもしれない。

10軒近く宿を見てまわったが、どこもあまり旅行者向けではないので
しょうがなくインド人巡礼者しかいない、安いドミトリーに泊まっている。
腹の調子もいっこうに良くなってないので、薬局で胃腸薬と
ぶどうやバナナなどを買って、ベッドでゆっくり静養している。
明日になれば人も少なくなるらしいので、朝にでも町を少し歩いて
それからバスでリシュケシュに行こうと思う。






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