2012/09/10

スリランカ その8

8月22日。朝6時に目が覚め、ベッドの上で小説「天使と悪魔」をずっと読む。
とてもおもしろく、上巻しか持ってこなかったのが悔やまれる。
8時を過ぎたので、そろそろ郵便局が開いてる頃だなと思い
先日買ったポストカードに、実家宛と奥さん宛のメッセージを書いたので
それを郵便局に出しに行くことにした。

足の指をカバーするために、サンダルではなく靴をはいた。
歩くとやはり痛むので、びっこを引いた状態でゆっくりゆっくり歩き
200mほど離れている郵便局に向かった。

もう8時半だというのに郵便局は閉まっていたが
裏口が開いていたので、そこから中にいるスタッフが見えたので
「何時オープン?」と聞いたら「8時からだよ」と言いやがる。
じゃあこの2枚を国際郵便でお願いしますというと、25Rs切手を2枚くれた。
1枚20円以下だが、こんなもので本当に届くのだろうかと不安になった。
(後日ちゃんと届きました)

隣にあった食堂でいつもの朝食、パンとカレーとヨーグルトと紅茶を飲んだ。
全部で120Rs(80円)。店の人は、ぜんぜん英語が通じなかったので
日本語で、あいかわらずクソ美味いくせにクソ安いな!と言ったら
ハハハ、グッドグッド!と笑っていた。

宿に戻って靴を脱ぎ、サンダルに履き替えた。
サンダルで歩くと、靴よりも痛くないことがわかった。
これはもしかしたら、ちょっとくらいなら散歩とかできるかも、と希望を持ち
洗濯をしたり本を読んだりして昼までゆっくりと過ごした。

昼になってガイドブックをもう一度よく読み
片道2時間以上かかると書いてある「エッラ・ロック」というのは無理だが
1時間以内には着けるという「リトル・アダムス・ピーク」という山なら
どれだけゆっくり歩いても着くだろうと思い、さっそく準備をして宿を出た。

行く途中で、昼ご飯用に小さいバナナを6本ほど買った。
山に向かってあるいていると、道路脇にあるレストランに見覚えのある少女がいる。
よく見ると、昨日バンダーラウェラからエッラ村に向かうバスの中で、前に座っていた
目の玉が淡い緑色をした女の子だった。まだ10歳くらいの子だが
顔立ちはとてもきれいな子で、他の子とはぜんぜん違う不思議な雰囲気を持っている。
私と目が合うと、とても控えめな笑顔で少しだけ手を振ってくれた。
またもその美しすぎる目の玉に吸い込まれそうになり、軽くめまいがした。
旅はするもんだなあ、と足をひきずりながら快晴の空を見上げた。

リトル・アダムスピークの入り口には、ほんとうに15分くらいで着いた。
農園の入り口みたいな感じで、そこからはずっと茶畑が広がっていた。
歩いていると向こうから、茶摘みが終わって帰る途中だろうオバアちゃんが歩いてきた。
話しかけてきたので、なんだろうと思ったら、カメラは持っているか?と聞いてきた。
どうやら旅行者に写真を撮らせて、それから写真料を要求する手口らしい。
俺を誰だと思ってんだババアと小声で呟きながら
残念ながらカメラはないんだよというジェスチャーでババアをいなした。
そのあともすれ違うババアみんな、写真を撮れとしつこく言ってきた。
乳でも振り乱せば撮ってやらんこともないのだが。

歩いていると、指に巻いたティッシュがどんどんずれるので
いっそはずそうかなとも思ったが、土が傷口に入り化膿でもするとマズイので
宿でもらってきたトイレットペーパーを何度も巻き直しながら進んだ。

まだかまだかと思いながら坂を登り続け、入り口から1時間経ち
ついに頂上に続く急な階段に辿りついた。
つま先をぶつけないように横向きになりながら、ゆっくりと登って行くと
なにやら頂上から誰かの歌声が聞こえてきた。
なんと頂上では、素晴らしい景色をバックに
上半身裸の白人のお兄さんがギターを持って歌っていた。
そして傍らには彼の仲間が二人いて、ビデオカメラで彼を撮影していた。
アーティストらしいが、機材から見てまだ売れてはいないみたいだ。
さらにその周りにはスリランカ人の若者が10人くらいいて
撮影を珍しそうに見ており、途中からなぜか彼らもビデオに参加していた。


※赤いTシャツを着ている子に注目してもらいたい。



















一応名前を聞いてみたら、彼はイギリス出身のアーティストで
ローレンス・パーキングさんというらしく、とてもさわやかな好青年だった。

頂上からは周りの山々が一望でき、昨日行ったエラワンの滝も遠くに見えた。
座るのに手頃そうな、平たい岩が斜面から突き出ていたので
そこに座りながらバナナを食べて、景色をずっと眺めていた。

ふと反対方向を見ると、すぐ隣にもう一つ山があったので
さらに20分ほどかけて山の斜面を這いながら隣の山に辿り着いた。
その山からはさらに遠くが見え、地球の広さが実感できるような景色が広がっていた。
さすがにここまで来る人はあまりいないらしく、周りには誰もいなかったので
年甲斐もなく「ヤッホー!」「大好きだー!」などと何度も大声で叫んだりした。

1時間ほどゆっくりしたあと、もと来た斜面を戻ろうとしたが
足が土だらけでひどい事になっていたので、頂上には戻らず
そのまま茶畑に侵入し、こんな素敵な茶畑で遭難したらどうしようと
少しドキドキしながらも、なんとか山を下り入り口まで辿り着いた。
足の具合は、なぜか朝よりも良くなっていたので、もう少し歩こうかなと思ったが
あまり調子にのると痛い目に遭いそうだったので、おとなしく宿に戻って休んだ。

夜になり、今日は奮発して少し高いものを食べようと思い
観光客がたくさんいる、シャレた感じのレストランなどに入ってみたが
メニューを見ると、ハンバーガーだのフィッシュ&チップスだの
まったくスリランカとは関係ないメニューばかりだったので
あえて全然客が入ってない店に行き、フライドライス&野菜カレーを頼んでみたら
これが完全に当たりで、この旅行で一番美味しかった。
作ってくれたオバちゃんに、これは本当に美味いと言ったら
カレーとお茶のおかわりまでくれて、吐くちょっと寸前くらいまで食わされた。

帰り道はまたも真っ暗だったので、電子辞書のライトを点けて地面を照らし
慎重にゆっくりと歩いて宿まで帰った。
明日は朝からバスに乗って、コロンボまで行き、そこから空港に行かねばならず
けっこうタイトなスケジュールになりそうだったので、ガイドブックを何度も読み
明日の計画をじっくり考え、早めに寝た。


















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