今インドネシアはスマトラ島のトバ湖に来ている。
先月バンコクに行ったきり、どこも行かずにお仕事がんばったので、来週あたりどこか行こうと、スカイスキャナーで行き先を探していた。すると飛行機チケットが安い順に見られるのがわかり、それで調べたところ、一番安いのがマレーシアのクアラルンプール、次いでインドネシアの首都ジャカルタ、その次にインドネシア、スマトラ島の都市メダンだった。往復で130ドル程度。
メダン空港に朝9時頃着き、そこから空港のバスでアンプラス・バスターミナルに行く。15,000Rp。
そこからパラパッ行きのローカル・バスに乗って4時間ほど。40,000Rp。
席に座って出発を待っていると、バスの運転手がアジア人のおじさんを一人連れてきて、俺を指差し「彼も香港人だ」と言ったが、おじさんは「いや、あなた日本人ですよね」と言っていた。オジさんは香港人で彼もトバ湖に行くらしい。前の方の座席で運転手とないやら話していたが、しばらくして私のところに来て「いくら払いましたか?」と聞いてきたので、40,000Rpですと言うと、安心して席に戻って行った。たしかに不安になるのも無理はない。そんな怪しい雰囲気がするバスターミナルである。
このローカルバスが、なかなか暑かった。もちろんエアコンはないし、窓も上のほうが少し開くだけだし、走ってないときは風も入ってこないので、非常に暑い。長ズボンをはいていたが、お尻のあたりが汗でべっちょり濡れしまった。そして車内は運転手を含め、何人かがタバコを吸っていて、インドネシアらしい感じだった。でもタバコの煙が嫌いな人もいるらしく、そういう人はちょっと煙たい顔をしていた。
きっと主要道路を走っていたにもかかわらず、道幅はとても狭く、バスは無理っぽい追い越しを繰り返しながら走った。車窓から見える町は、
家や店がボロボロで、道は砂利道で埃っぽく、どこかアフリカのような感じがした。インドネシアはマレーシアと似てると思っていたが、やっぱり全然違う。人が多いのでそれだけ貧しいのかもしれない。昼になって学生の姿が見えるようになったが、バスかなにかを待ちながらオッサンのような風貌でタバコをプカーッとふかしている。オバさんでもタバコを吸っている人をよく見た。みんなタバコが大好きらしい。
パラパッの船着き場に着くと、オジさんはトバ湖の真ん中にあるサモシール島行きのボートに乗りに行ったが、私は今日はボートに乗らずにこのパラパッに一泊することにした。色々な町を見てみたかったので。
ホテルを探しているときにオジさんに私のホテルに来いと話しかけられ、見るだけ見てみるかと思いミニバスに乗って向かったら、けっこう遠くまで来てしまったので、しかたなくそこに泊まることにした。船着き場から徒歩15分、トイレ・シャワーは共有でお湯は出ない。これで一泊、100,000Rp。高いか安いか考えようとしたが意味がないのでやめた。荷物を置き、町をブラついてみた。町の人は思ったよりきさくではなく、あまり話しかけては来ない。観光地だからかなと思ったが、たしかに前にインドネシアに行ったときも、こんな感じの距離感だったような気がする。話しかけられるのが嫌いな人はちょうどいいかもしれない。でも私はインドネシア語の練習がしたかったので、もっとガンガン来いよと思った。
夜はけっこう寒く、風邪気味だったので、体が非常に心配だった。ホテルには無料のお湯などもなさそうなので、向かいの食堂でホットコーヒーを飲んだりした。ツインベッドだったので、隣のベッドの毛布もかけて、なんとか寒い夜をしのいだ。
朝9時頃、船着き場まで歩き、サモシール島行きの船に乗った。片道15,000Rp。ボートはゆっくりで、周りの景色がきれいだった。湖は山脈に囲まれていて、どこもかしこも山だった。ホテルは決まっていなかったので、適当な船着き場で降りて、宿を探した。
人に聞いたところ、このあたりではポピーズが安いと言っていたので、そのポピーズというレストランの宿に泊まることにした。ここも一泊100,000Rpと言っていたが、おそらく定価は決めていないような感じだった。とても質素な部屋でwi-fiもホットシャワーもないし、次の日気づいたがシャワーすらも使えず、蛇口からしか水は出なかった。しかし部屋は湖に面していて、そこからの景色は素晴らしい。湖は静かで、対岸にもとくに町などはなく、山が見えるのみ。レストランの隣には独立した貸し家があり、そこはドイツ人のオジさんが貸し切って泊まっていた。けっこう長い事住んでいるらしく、桑で畑や庭をいじったりしていた。
午後からひたすら歩き、疲れてはワルン(庶民の食堂)で飲み物を飲んだりお菓子を食べたりした。天気はあまりよくなく、頻繁に小雨が降ったり止んだりしていた。インドネシアはイスラム教の国だが、この島の島民はみんなクリスチャンらしく、いたるところにキリスト教の小さい寺のようなものや、お墓があった。教会も近くにいくつかあるらしい。
夕方頃にある食堂でスープを飲んでいたら、雨が激しくなってきたので出るに出られず、店のオジさんが英語が達者なので、しばらく雑談をした。おじさんは大きい子供が3人いるらしく、長女は日本人と結婚して大阪に住んでいて、他の二人はこれから大学に入るらしい。学費のためにもっとお金が欲しいらしく、どこか連れてってあげようとか、ガイドをするよとか言ってきたが、やんわりと断った。大きい家に大きいテレビ、家族も元気でこれ以上何も要らないじゃないかと言ってみたが、とにかく子供達を大学に行かせないと未来がないような事を言っていた。
やっと雨が小降りになったので食堂を出て、帰り道にネットで見たことがある「Toba Cats Garden」というゲストハウスがあったので、ちょっと寄ってみた。小柄なオジさんがモップがけをしていて、日本語で色々話しかけてきた。聞けばオジさんは前に名古屋で働いていた事があるらしい。仕事は何だったのと聞くと「ドカチン」と言っていた。ゲストハウスには猫が18匹と犬が1匹いる。オジさんはどこかから魚を大量に持ってきて、猫達の料理を作り始め、とても忙しそうだった。やっと一息ついたので部屋の事を聞いてみると、ここには部屋は1室だけで、今はイギリス人が泊まっているらしく、もう一つ部屋があるよというので見てみたら、ベッドの枠組みだけでマットレスもなにもなく、まだ泊まれる状態には見えなかった。料金はいくらでもいいし、雑務を手伝ってくれればタダでもいいような事を言っていた。
さらに色々聞いてみると、オジさんはここの出身ではなく、もっとメダンよりの小さい町の出身で、日本で働いたあとインドネシアに戻ってきて、3年前からこの家でハウスキーパーを始めたらしい。本当のオーナーは他の所に住んでいて、オジさんはこの家の世話をしているだけで、給料はもらっていないが、ある時から捨てられている猫を拾い始め、その猫の食べ物代などを稼ぐために半年前にこのゲストハウスをオープンさせたらしく、許可はオーナーからももらっているようだ。
ゲストハウスの裏には庭があり、そこで無農薬で色々な果物なども育てていて、パッションフルーツを一つ採って来てくれた。話をしていると誰かが来て、オジさんは何度も頭を下げてお礼を言っていたようだ。来客は麻袋を一つ置いていき、中には子猫が一匹入っていた。このようにしてオジさんのゲストハウスには猫が増えていっているようだ。これで19匹になった。ずっと話を聞いていたが、本当に純粋に捨てられた猫達をほうっておけない、そんな不器用で純粋な人のような感じがした。
宿にはホットシャワーはなく、Wi-fiもないのかと聞くと、前はあったけどお金が払えなくて今はないとの事だった。しかし本当に毎日手抜きをせずに掃除しているらしく、部屋が一つにしては大きすぎるゲストハウスは、床も壁もキレイに掃除されていた。
そんなわけで、世界中の猫好きな人達がここをよく訪れるようになって、オジさんと動物達の生活ももう少し向上すればいいなと少し思った。
上記のサイトでは、けっこう15ドルくらいからと設定されているが、下記のブログでは2016年の春頃に泊まった人で、一週間泊まって一泊約170円だったとも書いてあるので、交渉次第なのではと思う。
ゲストハウスを出る頃には、外は日が暮れかけていて雨もけっこう降っていて、宿に着いたときは服が濡れていてとても寒かった。なんとか色々工夫して、風邪を引かないようにした。とにかく装備が不十分なのが今回の大きい失敗だ。こんなに寒いとは思わなかった。まだ6日間ほどあるので、気をつけないと。
↓ 写真はハウスキーパーのおじさん。名前はボンドさん。54歳。バツイチ
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