2015/11/03

岸辺のシロー



先週末エスプラネードで、舞台「海辺のカフカ」を見てきました。村上春樹原作で、主演は宮沢りえさん。
前から3列目だったしきっとチケットはお高かったと思うんですが、もちろん私が買ったわけではなく、日本語を教えているフランス人の方からいただきました。お連れ様が行けなくなったみたいで。なのでその人と二人で見ました。
エスプラネードで舞台を見るのは初めてだったのですが、今回の舞台が行われるところはオペラハウスみたいな4階席まである劇場でした。お客さんはおそらく半分以上が日本人だったはず。それもそのはず、劇は全部日本語で、ステージの両端に小さいスクリーンがあって、そこに申し訳程度に英語字幕が流れるだけなので。

劇は午後8時ちょうどに始まり、いきなり舞台の奥からガラス張りの箱に入った宮沢りえさんが出て来ました。わたしはなぜだかものすごく興奮して、胸の奥から熱いものがこみ上げてきました。けっこうミーハーだったみたいです。そのあとも藤木直人さんが出て来ましたが、藤木さんの時はとくに感動もしませんでした。やはり宮沢リエは特別です。

ほかの役者さんは、知っている人はいませんでしたが、でも宮沢さん藤木さんを筆頭にみんなとてもいい演技で、すぐに劇に引き込まれました。ものすごく長いセリフもたくさんあって、逆にわたしがハラハラしましたが、みなさんきちんと演じきっていました。内容もとても難しく、小説を読んでなかった人はチンプンカンプンだったと思います。難しいというか、猫と話したり、カーネルサンダースが出て来たりと、とてもエキセントリックな内容です。
わたしは村上春樹の小説はほとんど読んだことがないのですが、奇跡的に「海辺のカフカ」だけは読んでいたので、なんとかついていけました。

おそらくこの小説を読んでいない、しかもみんなシンガポール人だと思うのですが、私にとっては全く笑う必要のないシリアスな場面で、なぜか会場から笑いが巻き起こったりしました。たとえば脇役のおっちょこちょいな女性が諺を忘れてしまったときとか、藤木直人が自分の身体の秘密をカミングアウトしたときとか。
となりのフランス人の方も、なぜみんな笑うのかやはり不思議だったと言っていました。

そして3時間はあっというまに過ぎ、役者さんがみんな出て来て、頭を下げたり手を振っていましたが、このときも私は宮沢りえさんだけを見ていました。ほんとうに綺麗でした。5分くらいずっと拍手をして、劇は終わったんですが、フランス人の方が、フランスだとこれが30分くらい続くんですよと言っていました。フランスで舞台は見ないようにします。


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