【4日目】
朝4時過ぎに奥さんに起こされる。
奥さんは、なぜか目覚ましがならなかったけど
奇跡的にわたしが目を覚まして、ほんとうによかった~、と一人で言っている。
すぐに顔を洗って朝飯を軽く食べる。そしてトイレでウンコをしながら
時間は大丈夫かなと、自分の腕時計に目をやると、時計は「2:30」。
あれ? おかしいな? と思ったら、なんと奥さんがタイ時間を間違っていて
2時間も早く起きてしまった。ので、出発準備万端のまま、もう一度寝る。
今度は無事に4時に起き、マラソン会場まで歩いて行き
まだ暗い中で、4時半スタートのフルマラソンの選手たちを見送る。
そして5時に近づき、ついに私が参加するハーフマラソンがスタートした。
空にはまだ星が見える中、マイペースでゆっくりと走る。
道は田舎の一本道といった感じで、まだ舗装されてない箇所もたくさんあった。
30分くらい走ると次第に空が明るくなり、ニワトリが鳴き
野良犬が徘徊しはじめ、スクーターや車も増えてきた。
道路脇の民家の人達も、別に応援するでもなくボケーっと物珍しそうに
ランナーを眺めているだけで、とてもほのぼのしたマラソン大会だ。
1時間半で、やっと折り返しの10キロ地点に着く。
まだ足にも余力があったので少しだけペースをあげる。
残り3キロくらいのところで足に限界がきて止まりそうになったが、
2時間30分ちょうどで、なんとか完走。
10キロのクオーターマラソンを先に終えていた奥さんが、笑顔で出迎えてくれた。
足がガクガクのままホテルに戻り、シャワーを浴びてまたすぐに出発。
バスに乗って、わりと人の少ないラマイ・ビーチまで移動した。
予約していたバンガローに着き、奥さんは疲れていたので昼寝。
わたしは一人でビーチに泳ぎに行った。
ガイドブックには、ここのビーチでシュノーケリングができると書いてあったので
潜ってみたが、期待していたほどキレイではなく、魚もあまりいなかった。
しかし面白い岩場がたくさんあったので、その周りを1時間ほど泳いでから
宿に帰って奥さんと昼飯を食べた。
午後からも奥さんは昼寝を続け、わたしは一人で歩いて周りをブラついた。
しかしこの島はどこへ行ってもリゾートと夜のお店ばっかりで
女に飢えた白人オヤジと、金に飢えたタイ人娼婦で溢れ帰っている。
もし地元がこんな風になったらイヤだな~と、心から思った。
このタイの風紀の乱れっぷりはきっとアジア一ではないだろうか。
そんな事考えている間になぜか道に迷い、宿に着いたときはもう日が暮れており
ようやく目が覚めたらしい奥さんと、近くの食堂で夕食を食べてビールを飲み
10時前には寝た。
【5日目】
8時頃起き、二人でビーチを歩いた。野良犬がたくさんいて
一匹ひたすらにビーチで穴を掘っている犬がおり、なにやってるのかと見ていたら
穴の中からカニを見つけ出して遊んでいた。
このビーチ周辺も、昨日全て見てしまったので、もうやる事がないと思い
昼からまたスクーターを借りて、二人でドライブをした。
あてもなく走り、なにか美味しそうな物を見つけると、止まっては買い食いした。
まだ行ったことがないビーチや、変な大仏のある寺などを見て回った。
寺には、犬と猫とニワトリが仲良く共存しており
旅行者と娼婦と一般市民が、騙し合い共存している下界とは正反対の
心安らぐほのぼのとした空間があった。
島をゆっくり一周し、日が暮れる頃また宿に戻ってきた。
ガソリン代は200円程度で、とても安上がりで楽しい観光だった。
明日は二人共、ついにサムイ島を出発するので最後の晩餐に
美味しい物を食べたかったが、入った食堂がハズレで
高い割に量が少なく、味は酸っぱく、サービスは悪く、さんざんだった。
しかしそれも一つの旅の醍醐味だと割り切り、ビールも飲まず
宿に帰って水をガブ飲みして寝た。
【6日目】
朝8時、奥さんと宿の番犬に、バス停まで送ってもらい
バスに乗って、最初に来た港がある町に行った。
これから船に乗って、またスラーターニーに帰らなければならない。
その前に朝飯を食べようと、近くの食堂に行ったら
外国人はお断りだという風に、店のババアに有無を言わさず追い返された。
このリゾートアイランドは、本当に腹の立つ奴らがたくさんいる。
今度はよく店を選び、親切な店で美味しいパット・タイ(タイのヤキソバ)を食べた。
フェリー乗り場に行くと、大型バスが一台来ており
それに乗りこみ、そのまま自動車運搬フェリーに乗って
スラーターニーまで1時間半かけて着き
そこからまたハジャイまで、そのバスで移動した。
フェリーオフィスのオバハンは、サムイ島からハジャイまで6時間で着くと行ってたが
結局8時間以上はかかった。後半2時間はバスの中で
適当なこと言ってチケットを買わせるクソオバハンに天罰があたるように祈っていた。
ハジャイのバスセンターに着き、そこからまたバイクタクシーに乗り
街の中心部まで行き、200バーツの安宿にチェックインした。
宿の受付は愛想がなく、タイ語で挨拶をしても無視された。さらに
精神病院みたいな建物で、自分の部屋はその奥の奥にある、牢屋のような部屋だった。
しかし、日本人御用達の安宿らしく、日本語の情報ノートや
小説なども3、40冊近くあり、わりと良い環境の宿だった。
晩飯を食べに行ったが、今までさんざん感じの悪いタイ人に会ってきたせいで
心が閉じかかっていて、もうローカルの店には入りたくない気分だったが
渋々入ってみると、タイ語が話せない俺にも優しく注文を聞いてくれて
笑顔で、おいしいチャーハンとスープを出してくれた。
そこでやっと、基本的にタイ人は優しいのだということを思い出した。
それが今回柄にもなくリゾートなんて行ってしまったせいで
外国人慣れした、意地くそ悪いタイ人にばかり会ってしまい
タイの善良な一般市民のみなさんの事まで誤解しかかっていた。
ちょっと気持ちが楽になり、そのまま軽い足取りで宿へ戻り
なにか本を読もうと思い、拷問について書かれた
『人はどこまで残酷になれるのか』を手に取ったが
こんな本をあの牢獄のような部屋で読んだら怖すぎると思い
代わりに宮部みゆきの『理由』を、夜11時くらいまで読んで寝た。
【7日目】
7時に起き、朝飯を探しに街に出た。ブラブラと20分くらい歩いて
点心料理がある小さな食堂を見つけた。
どうやって注文すればいいのかなと思ったが、店のおばさんが
親切に片言の英語で対応してくれて、小皿4品と中国茶を頼むことができた。
味はまぁまぁだったが、なんとなく何かを達成した感があった。
宿に戻って10時くらいまで小説を読み、それから宿を出て
タイ航空のオフィスに行き、空港行のバスに乗った。
かなり早く空港に着いてしまい、出発までかなり時間があったが
ずっと小説を読み時間を潰した。
少し腹が減ったので空港内の食堂に行き
なんとなく「鶏肉カシューナッツ炒め」を注文したが
注文した直後に、フライトまであまり時間がないことに気づき
自分がいかに愚鈍な人間かをかみしめながら急いで食べ
今回最後のタイ料理だというのに、味がまったくわからなかった。
そして午後1時半、小さいアベヒロシを載せた飛行機は
シンガポールへ向けて離陸した。
飛行機の中でも、家に帰る地下鉄の中でも、宿から持って来た小説をずっと読んでいた。
家に戻ると奥さんがまた笑顔で出迎えてくれ、汚れた服の洗濯などをしてくれたので
また安心してベッドの上で小説を読んだ。
以上。
いたって当たり前のことなのだが、今回改めて感じさせられたのは
リゾート地などは色々と便利だが、旅行者から金をとることしか考えていない
あさましい奴がたくさんおり、物価も高い。
そして旅行者などが少ない所では、旅行者にとっては不便なこともたくさんあるが
人はまだすれておらず、物価も安い。
もし不便を楽しむことができるなら、どう考えたって後者の方が天国だろう。
金の稼ぎ方は知ってるが、使い方は知らんという自称セレブ共は
リゾートに閉じこもって貴重な休日を有意義に過ごせばいいさ。
わたしはもうリゾートには行かないよ。(いつか家族と行くかも)
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