目の前のテーブルに インド人の日雇い労働者らしき青年と
そのボスみたいなオッサンが二人でコーヒー飲みながら話してた
もちろん俺は彼らのしゃべってる言葉は全然わからないから
全部俺の勝手な想像なんだけど
たぶん彼は南インドから出稼ぎのために
先週シンガポールに着いたばかり
友達も一緒に来たけど配属先は別々なので
全然知らない場所で一人で働かなければならない
彼の仕事は公団住宅の周りの掃除 朝早くから夕方頃まで
受け持った公団住宅の周りの掃除を全部一人ですること
ボスもインド系だがシンガポール人で 言葉は英語しか話せないので
ボスからの仕事の指示は英語で聞かなければならないが
英語は片言しかしゃべれないので 正直ボスが何言ってるかわからない
まぁそんなところだろう
青年はとても無口で というかほんとに英語は全然話せないんだと思う
ボスが話しかけてもボソッとなんか言ったり 軽くうなずくだけ
すると中国系のババアが近づいてきて 青年になんか話しかけてる
どうやら
英語わかんのかいあんた? え? ここの掃除するんでしょ?
大丈夫? できんの? ほらこの書類も英語で書いてあるでしょ え・い・ご!
的な事を一人でくっちゃべって 小馬鹿にして去っていった
その後もボスが何か話しかけても 彼はコーヒーをちびちび飲みながらうなずくだけ
彼を見てると こっちに来た当初の自分と少しダブる
少しかわいそうだとも思うが そんな辛気くさい顔してたって何も始まらない
あんま卑屈になんないで がんばって早く慣れろよ となぜか先輩面
ボスもあまりにも話さない彼に少し愛想をつかし 話しかけるのをやめた
彼はおもむろに 最近手に入れたのであろうまだ新品の携帯を取り出しいじくり始めた
シンガポール人はほとんど i-phone とか 少し大きめのスマートフォンを持っているが
彼はまだ給料も入ってないだろうし なけなしの金でやっと買ったのだろう
何の機能もついてないような ほんとに最低限メールと通話ができますよという
見るからに安そうな 低所得者が持つような携帯だった
はあ・・・ なんかあの携帯見てるだけで切なくなってくるな・・・
と思ったが よく見てみると自分と色違いの携帯であった
おしまい
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